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2019年1月28日月曜日

クロヒメヤスデ Karteroiulus niger Attems, 1909

My図鑑/ 節足動物門 Phylum Arthropoda/ 多足亜門 Subphylum Myriapoda/






2018年10月20日 東京都西多摩郡奥多摩町

 体長 50~60 mmほどにもなり、ヒメヤスデ類としては非常に大きい種類です。クロヒメヤスデ科 Family Parajulidae Bollman, 1893 の多くの属・種は北アメリカと中央アメリカに分布していて、日本からは本種のみが知られています。夜間倒木上に這い出て菌類を食べる様子を見かけます。防御液の量が非常に多く、うっかり触るとヤスデの体中が茶色に染まる(最後の画像)ので、撮影には苦労しました。

 模式産地は馬返(山梨県富士吉田市上吉田)。国内では本州、四国、九州に広く分布し、国外では中国に分布しています。


参考文献

  1. Attems, C. (1909) Die Myriopoden der Vega-Expedition. Arkiv för Zoologi, 5(3): 1-84. Uppsala, Stockholm. https://www.biodiversitylibrary.org/page/6392668#page/33/mode/1up
  2. 西川 喜朗・村上 好央 (1994) 日本産倍脚類の分布記録(IV). 追手門学院大学文学部紀要, 30, 179-197.

7 件のコメント:

  1. それ程大きくないとはいえ、エキゾチックペットショップで売られてるような、熱帯チックな中型の筒型ヤスデが日本に、それも沖縄とか離島とかじゃなく、この本州にも生息しているとは知りませんでした。山奥でないと会えないと思いますが、一度現物が歩いている姿をこの目で見てみたいものです。

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  2. 返信遅れてすみません!このブログへの初めてのコメントでうれしく思っています。このクロヒメヤスデはそれほど珍しい種類ではないのでちょっとした森があれば十分出会えると思いますよ!昼間は地面に潜ってしまうので夜の方が遭遇します。菌類食?らしく飼育可能かどうかはわかりませんがぜひ挑戦してみてください。そして結果を教えていただけるとありがたいです。

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  3. お返事ありがとうございます
    教えていただきたいのですがこのヤスデ、日本全国にどこにでもいる普通種のフジヤスデとよく似てるんですよね・・・
    ただ、フジヤスデはクロヒメヤスデに比べて小型(大きくても4cmくらい)です
    一方、成虫のクロヒメヤスデは5cmはあり、大きくなるものだと10cm弱にもなると聞きます
    ヤエヤママルヤスデ程ではないにしろ、中々でかいです
    そして国産ヤスデとしてはマイナーなのか、中々具体的な情報がありません
    活動時期が分かりません、フジヤスデは冬場にしか発生しませんが、本種はどうなのでしょうか?他大多数の虫と同じように暑い季節にしか見られないのか、それとも探せば一年中見つかるのか、どうなんでしょうか?もし教えていただけるのなら是非お願いいたします。

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  4. 10 cm近いクロヒメヤスデはちょっと見たことがないです。おっしゃるように5 cmくらいのものが多いです。本種は今のところ春・夏・秋は確認しています。冬も探せばいるかもしれません。

    フジヤスデ属の活動期もけして冬だけだというわけではなく、先日も成体を見かけています。種類によるのかもしれませんが、フジヤスデの同定は難しいです。地理的変異がわからないので、どの種ともつかないものが採れます。

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  5. 西川・村上 (1994) には4月~10月に成体が採集されている記録があります。

    西川 喜朗・村上 好央 (1994) 日本産倍脚類の分布記録(IV). 追手門学院大学文学部紀要, 30, 179-197.

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    1. お久しぶりです
      遅らばせながらあけましておめでとうございます
      情報ありがとうございます!そうか、、、一口にフジヤスデといっても更に種類が分かれてますもんね
      10㎝は大袈裟だったかもしれません(すみません)ただ、7㎝程の個体は信州の山奥や淡路島で確かに発見されているようです
      https://insects.exblog.jp/7132892/
      http://uni2008.web.fc2.com/htm/mukade.ta.html
      そして、実はクロヒメヤスデにはもう出逢ってるかもしれません、フジヤスデを探している時に一際大きなフジヤスデ(5~6㎝くらい?)が稀に見つかっていたんです
      その時は「でかいフジヤスデだなぁ」くらいにしか思っていなかった、実はそれがクロヒメヤスデヤスデだったのかも・・・
      なにぶん専門的な勉強は一切してないので、色や大きさが同じ感じだと見分けがつかない訳です・・・案外両者の生活圏は同じなんでしょうね・・・

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    2. お久しぶりです。毎度、返信遅くなり申し訳ないです。
      黒色円筒形のヤスデについてまとめておこうと思います。

      ヒメヤスデ目 Order Julida Brandt, 1833
      ヒメヤスデ科 Family Julidae Leach, 1814
      フジヤスデ属 Genus Anaulaciulus Pocock, 1895
      尾は尖る。国内からは23種1亜種が知られる。体長17-40 mmほど。
      クロオナガヒメヤスデ属 Genus Nepalmatoiulus Mauriès, 1983
      尾は(フジヤスデ属より)尖る。国内からは八重山列島からヤエヤマクロオナガヒメヤスデ1種のみ。
      フジヤスデモドキ属 Genus Japanioiulus Verhoeff, 1937
      尾は尖らない。全国各地の海浜植物群落の落葉中に見られる。国内からはフジヤスデモドキ1種のみ。
      ホタルヤスデ科 Family Mongoliulidae Pocock, 1903
      ホタルヒメヤスデ属 Genus Kopidoiulus Attems, 1909
      尾は尖らない。体は背腹方向に長く、水平方向に短い。そのため体の断面は楕円形に近い。黒色に近いものとほぼ白色のものがいる。洞窟性のものが多いが洞外でも見られる。比較的大型。国内からは5種が知られる。
      リュウガヤスデ属 Genus Skleroprotopus Attems, 1901
      尾は尖らない。洞窟性のものが多いが洞外でも見られる。比較的大型。国内からは12種が知られる。
      クロヒメヤスデ科 Family Parajulidae Bollman, 1893
      クロヒメヤスデ属 Genus Karteroiulus Attems, 1909
      尾は尖らない。樹上や倒木で見られることが多い。大形。国内からはクロヒメヤスデ1種のみ。
      フトマルヤスデ目 Order Spirobolida Cook, 1895
      マガイマルヤスデ科 Family Pseudospirobolellidae Brölemann, 1913
      マガイマルヤスデ属 Genus Pseudospirobolellus Carl, 1912
      尾は尖らない。国内からはマガイマルヤスデ1種が小笠原諸島から知られる。
      ミナミヤスデ科 Family Trigoniulidae Attems, 1909
      ミナミヤスデ属 Genus Trigoniulus Pocock, 1894
      尾は尖らない。体幅が長く太短い体形。国内からは2種が沖縄から知られる(1種は外来)。ミナミヤスデは赤褐色~赤色。サダエミナミヤスデは濃褐色。
      オビヤスデ目 Order Polydesmida Pocock, 1887
      一部側庇(後環節の横に張り出している部分)が発達せず円筒形に近い体形をしているものがいる。胴節数は20以下で少ない。

      richooさんがいくつかリュウガヤスデの仲間の画像を「Ⅲ月紀・四六」にあげておられるので、そちらをみればリュウガヤスデの印象はなんとなくわかるのではないかと思います。

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