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2018年1月30日火曜日

オキナワアマビコヤスデ Riukiaria pugionifera Verhoeff, 1936

My図鑑/ 節足動物門 Phylum Arthropoda/ 多足亜門 Subphylum Myriapoda/

 


2016年08月13日 沖縄県国頭郡国頭村

 沖縄島から知られていますが、場所により大きさ、模様に地域変異があります。

本種は"Riukiu-Insel Okinawa"から記載されました (Verhoeff, 1936)。
同時に記載された種にオキナワアマビコヤスデ Riukiaria falciferaがいます。

Verhoeff (1936) は両種の違いについて、

pugionifera
"Tergite fast glatt, nur mit Spuren von Runzelung. Die Randfurche des Collums, welche den wulstigen Seitenrand absetzt, beigt hinten etwas gegen den Hinterrand, und dieser ist jederseits deutlich eingebuchtet. Stirn zwischen den Antennen ohne Eindruck, Beine in allen Gliedern mit Massen schwarzer Pigmentzellen."

falcifera
"Tergite vorwiegend dicht und deutlich verworren gerunzelt. Randfurche hinten nicht nach innen abbiegend, der Hinterrand des Collums jederseits nur mit äußerst schwacher Andeutung einer Einbuchtung. Stirn zwischen den Antennen vorn mit Quereindruch und dahinter mit V-förmigem Eimdruck. Beine völlig frei von Pigmentzellen."

と述べています。

この標本は高桑博士が Verhoeff 博士に送ったもので、高桑 (1954) には上記とほぼ同じ内容で、
「1. 背板はほとんど平滑なるがただ徴かな皺を有す。頸板側の縁取りは後方では後縁に沿って内方へ多少曲がっている。額には両触角の間に凹溝はない。歩肢には黒い色素粒の集りがある。…………37. オキナワヤスデ R. pugionifera VERH.
2. 背板には密に錯交せる皺を有する。頸板側の縁取りは後方へ曲つてもいない。額には両触角の間に横の凹みがあり、その後にV字状の凹みがある。歩肢には色素粒がない。…………………38. クロオキナワヤスデ R. falcifera VERH.」
と述べられている一方、「上記2種は別種とするに当らずとも考えられる」とも記述されています。

ごく一部の例外を除き、別々の学名が同一の種を指すと見做される場合、最も早く公表された学名が有効名となります。しかし、R. falcifera と R. pugionifera は同一の著作物で公表されました。そのような場合は、掲載されたページあとさきに関係なく、最初に同一の種とみなした著作物によって、どちらか片方に優先権が与えられます。篠原 (1977) は、R. falcifera を R. pugionifera の異名とみなし、R. pugionifera に優先権を与えました。そのため、両者を同一の種とみなす場合、R. falcifera ではなく R. pugionifera を有効名として扱わなければいけません。私は、上記の違いは地理的変異に過ぎず別種とは考えていないことから、オキナワアマビコヤスデ R. pugionifera として扱っています。


沖縄本島のアマビコヤスデ属の研究はまだまだ途上にあり、外見からの同定は間違える可能性があります。同定には雄生殖肢の形が重要になります。

*当初、クロオキナワアマビコヤスデ Riukiaria falcifera Verhoeff, 1936 として紹介していましたが、オキナワアマビコヤスデ Riukiaria pugionifera Verhoeff, 1936 に変更しました。


参考文献
・篠原圭三郎 (1977) Riukiaria属の再評価. Acta Arachnologica, 27: 115-119.
・高桑 良興 (1954) 日本産倍足類総説. 241pp. 日本学術振興会, 東京.
・Verhoeff, K. W. (1936) Zur Kenntnis ostasiatischer Strongylosomiden und Fontariiden.149. Diplopoden-Aufsatz. Zoologischer Anzeiger, 115(11-12): 297-311. Leipzig.

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