2018年02月04日 茨城県つくば市
上から
ウスアカフサヤスデ Eudigraphis takakuwai (Miyosi 1947)
ハイイロフサヤスデ E. kinutensis (Haga, 1950)
イソフサヤスデ E. nigricans (Miyosi 1947)
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つくば市では冬は山地のスギ樹皮下に少数が見られます。現状ではニホンフサヤスデ E. takakuwai の基亜種とされていますが、この3亜種は形態、色彩、生態が異なり、また分布域が重なることから別種として扱われるべきものと思われます。しかしここでは従来通り3亜種として扱うことにします。追記:それぞれの亜種は種に格上げされました。
日本産フサヤスデ類の研究は1932年に昆虫学者である江崎悌三氏が「本邦からは未だ發見されないが、産しないことはないと思ふ」と言及されたことに始まり、1935年に岸田久吉氏が「本邦には胴節11個のフサヤスデが最近見付かつた」と述べ、これが国内での最初の発見のようです。
本種は1947年に三好保徳氏によりMonographis takakuwaiとして記載されました。戦時中に右手の指をほとんど喪失しながら、多数の優れた図とともに記載されたことは執念のなせるものと思います。
沖縄に生息するハナナガアリや中米~南米にかけて生息するキッカイアリ Thaumatomyrmex の仲間はフサヤスデの仲間を好んで捕食するといいます。彼らにとってもフサヤスデの全身に生える房毛は邪魔なようで、引き抜いて丸裸にしてから捕食するとか。フサヤスデにとっては堪ったものではないですが、"奇怪"な奴らもいるものですね。
参考
- 高桑 良興・高島春雄 (1942) 南洋産多足類の概観. Acta Arachnologica, 7(3-4), 120-124. Link:https://doi.org/10.2476/asjaa.7.120
- 三好 保徳 (1947) 日本産Monographis屬の1新種. Acta Arachnologica, 10(1-2), 1-8. Link:https://doi.org/10.2476/asjaa.10.1
- 高島 春雄・芳賀 昭治 (1950) 日本の触顎類知見補遺. Acta Arachnologica, 12(1-2), 21-26. Link:https://www.jstage.jst.go.jp/article/asjaa1936/12/1-2/12_1-2_21/_article
- Karasawa, S., Kawano, K., Fukaya, S. and Tsurusaki, N. (2020) Upgrading of Three Subspecies of Eudigraphis takakuwai to the Species Rank (Diplopoda: Penicillata: Polyxenida: Polyxenidae). Species Diversity, 25(1): 89-102. https://doi.org/10.12782/specdiv.25.89
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